今日は朝から、中国語検定3級の試験を受けて、帰りにこの映画を見てきた。
台湾の映画で、原題は「父後七天」となっている。「初七日」という弔い形式は日本のもので、本来は「父が逝ってからの7日間」というような意味だと思う。ほとんどの台詞が台湾語だったので、中国語の勉強にはならなかったが、映画自体はとてもよかった。
台湾の田舎で露天商をやっている親父が死んで、若い兄妹が台湾式の葬式を出す数日間を淡々と、時にユーモラスに描いた映画である。映画の中の葬式が、台湾で平均的なものかどうかは分からないが、日本の葬式に比べてかなり大変である。
そうでなくても、日本の葬式はどんどん簡単になってきている。核家族化、少子化、親類縁者との付き合いの希薄化等々、そうならざるを得ない理由もある。しかし一方で、葬儀を出す本人達が精神的、肉体的、あるいは経済的に楽をしたいという気持ちがあることも否定できないと思う。これは経験者としての自分の本音でもある。
この映画、日本ではともすると、台湾式(道教式)の葬儀の一種エキゾチックさが注目されることになるが、なかなかどうして葬式を通じていろんなことを考えさせられる秀作だと思う。しかし、劇場はガラガラで興行的には赤字だろう。地味だけれどいい映画が見られる環境が悪化していくのは残念なことである。